認知症の予防と軽度認知機能障害
はじめに

唐代(652年)の孫思貘の著作に『備急千金要方』という書物があります。この本の題目は「人命こそが最も大切であり、その価値は千金の価値がある。そして、それを救うことは、徳をも超えるものである」という思いでつけられたものです。
この書物の中に有名な一説があり「上医は未病の病を医し,中医は病まんと欲する病を医し,下医は既に病むのを医す」とあります。すなわち, 最も優れた医師は未病を,普通の医師は病気になりかけているものを,下等な医師は既に病気になったものを治療するというわけである。日本の医療では、予防に関しては保険がききません。医者たちも病気の予防をするという観点からの教育は受けておらず予防医療を行うのは不得意です。本当は孫思貘の言う通り病気になる前の未病の内に手当や予防をして生体の恒常性を保ち健康を維持することが100年の健康寿命を達成する近道であることは確かです。リアリストの孫思貘は実際には書物の中で次のように述べています-「百年の寿命を持つ尊い身体を、凡庸な医師に任せて好き勝手にさせ、その結果、突然の病に見舞われて命を落とし、心も消え去り、異物に変わってしまい、死後の世界をさまようことになる。これは無駄な嘆きに過ぎない。それは、混乱した世の中を推し進め、自分を見失い、自分の本分を捨て去ることを意味する。そのような栄光や繁栄に何の意味があったのだろうか?」
認知症に関しては自助による予防が大切であることに変わりありません。インターネットで「認知症の予防」で検索してみますと認知症にならないための心がけを先生方それぞれが自身の経験からまとめられた10か条がでていますが、ここでは脳の機能からどのように工夫をすると脳の若返りが果たせるかという観点でお話しいたします(次回に続く)。

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